シーン2「思い出と共に」


ある日、ドラゴン小国に難破船が打ち上げられた。
装飾から察するにイシュ・バーンの船のようだ。
次元の隔たりがあるはずのイシュ・バーンからの漂流物に
ドラゴン達は驚いた。


しかも、船には生存者がいたのである。
まだ年端もいかない人間の女の子だった。
長寿だが、子宝に恵まれないドラゴン達は子供の大切さを良く知っていた。
例えそれが人間の子供だったとしても・・・
ドラゴン達に助けられた少女は「タムリン」と名づけられ、
同じ年頃の「アトルシャン」というブルードラゴンの子供と
一緒に育てられる事になったのである。


夢のような時間が、思い出となって、駆け抜けていく。


そして12年の歳月が流れ、
ここにもまた一つの別れがこようとしていた。


二人は12年前難破船が打ち上げられた海岸の見渡せる丘に来ていた。
この日の夕陽はいつにもまして紅(あか)い。

アトルシャン

「どうしたんだい、タムリン?さっき白龍に呼ばれてたみたいだけど」
タムリン
「私、イシュ・バーンへ帰ることにしたわ。」
アトルシャン
「なっ、さてはあの爺さん、また余計な事を!」

突然切り出された別れを予感させるタムリンの言葉に、
アトルシャンは動揺する。



タムリン
「考えてみて、私は人間なのよ。
このままここで暮らせばいつか辛い別れの日がきっと来る。」
「だから私はイシュ・バーンに帰って人間としての幸せを探してみたいの。」

タムリンの決意の深さを知り、アトルシャンが口を開く。

アトルシャン

「そうか、タムリンがそこまで考えているなら、もう何も言わない。」

突然、アトルシャンが自分の角をためらいもせず折った。

タムリン

「あっアトルシャン!?」



アトルシャン

「タムリン、これを角笛にして持っていくんだ。
そして僕の助けが必要になった時吹くといい。」
「僕は角笛の音を聞き逃さない、
例え君がどこにいても必ず駆けつけるからね。」
タムリン
「アトルシャン・・・」

この翌日、タムリンはイシュ・バーンへと帰って行った。
アトルシャンの角笛を握り締め・・・

「エンドシーン」へ

 

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