--第一部--


運命の出会い


ドラグリア、それは呪いによりイシュバーンを追われたドラゴン達のひっそり暮らす龍族安住の地。

ある日、次元の隔たりのあるはずのドラグリアに一隻の難破船が打ち上げられた。
遠き地イシュバーンから流れ着いたのであろう。

中には記憶を失った少女が一人生存していた。

子供に恵まれないドラゴン達は子供の大切さを良く知っている。
龍族の長白龍の決定によりこの少女は「タムリン」と名づけられ、ここドラグリアで同じ年頃のブルードラゴンと
一緒に育てられる事になった。そのブルードラゴンの名を「アトルシャン」と言う。

始めは怯えていたタムリンも気さくなドラゴン達の暖かさに触れ、種族の違いをこえて打ち解けていった。

楽しい日々は夢のように過ぎていく・・・


別れ、そして・・・


月日が過ぎ去り、共に成長した二人。
この二人にも別れの時がやってきた。

「どうしたんだい?タムリン」

ある日の夕暮れ時、海の向こう側を眺めるタムリンにアトルシャンは声をかける。

「私、イシュバーンに帰ろうと思う」

アトルシャンにはタムリンの言葉が信じられなかった。
ずっと一緒にいられる事を信じて疑わなかったのだから・・・

「人間の世界で人間の幸せというものを見つけてみたい」

タムリンの願いと決意の強さに打たれたアトルシャンは仕方なく同意する。

そして突然自分の角を折るアトルシャン。

驚くタムリンを優しく諭すようにアトルシャンは口を開いた。

「これを角笛にして持っていくんだ」

「困った事があったら角笛を吹くといい、僕は必ず君のもとへ駆けつけるからね」

夕陽を背に交わされた一つの約束を胸にタムリンは故郷イシュバーンへと帰っていくのであった。


第二部

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